山と都会と時々、建築

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登山で自然の雄大さを感じ…都会で人間の営みを建築から見る…そんなブログです

ルーブル・アブダビ:後編

いよいよ、美術館の中を紹介していきます。ちょっと間が空いてしまいましたが、こちらは前編がありますので、読んでいない方は、下のリンク先より前編を先に読んで頂きたいです。美術館の行き方など、詳しく書いております。それでは、後編です。

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エントランスはとてもゆったりとした空間で、ランダムな窓がリズミカルで面白いです。入ってみると結構人はいたのですが、受付にはほとんど人がいませんでした。エントランス以外の展示室にも天井にはトップライトが付いていたのですが、日が強い国なので直射日光が入らないように、ガラスの反射と形で何か不思議な見え方で面白かったです。

f:id:yiablog:20210318182143j:plain入場料ですが、大人は60AEDでした。日本円にすると1800円ぐらいになると思います。安いか?高いか?と言われるとアラブ首長国連邦はとにかく物価が高いので、相対的に個人的には非常にリーズナブルな価格だと思いました。上の写真は展示室へのアプローチですが、外観のデザインに対応するように目地のランダムグリッドと窓を関連付けてデザインしてインテリアとしてとてもかっこいい。

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本家ルーブルと比べると小さくはなるのですが、それでも入ってみるとかなり巨大な美術館です。かなり急いで見学しても結構な時間が掛かります。急足で3時間ぐらいはいたと思うのですが、結局全部回れたのか確証が持てません笑。それと、これはフランスでも同じですが内部の写真は撮り放題です。建築している人と美術やってる人はありがたいです。現在はどうかはわかんないのですが、学生の時にフランスのルーブル美術館に訪れた時に、沢山の学生が美術館の中で展示されている彫刻の前で一生懸命にスケッチをしている姿を見た時に、美術館に対しても学生に対しても凄い感銘を受けたことを思い出します。日本もいろいろと、もう少しだけ自由になればいいのになぁと思います。下記の記事はアムステルダム国立美術館で行われたイベントで面白かったので載せておきます。

www.huffingtonpost.jp

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展示室もトップライトと光天井を多用していて、明るすぎず暗すぎずな感じでゆったりと見ることが出来ました。インテリアはとても近代的でシンプルな構成で、いわゆる「ホワイトキューブ」と言われるタイプでした。2枚の写真でもわかるように結構な見学者がいて、多種多様な人種で賑わっていると思います。流石に日本人には出会いませんでした。

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では、そろそろ本題に入っていきます。

特に注目するところは、この写真のスチールとアルミニウムで作られたドームです。先ほどの外観から見えた白い箱の上に載っていたドームです。この天井部分は、幾何学模様のアルミパネルを上下に四層ずつ重ねて木漏れ日から光が落ちてくるような美しさがあります。写真ではスケール感が分からないと思いますが、直径180mの巨大なドームになります。

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このドーム天井は、クーポラとヤシの木をモチーフに考えられているようです。クーポラとは教会などの丸天井のことです。しかし、改めて写真で確認すると凄まじい建築です。興奮が突き抜けます。もちろん美術館ということで日常空間とは切り離された体験をする施設ではあるのですが、遥かに経験や体験を上回った空間は久しぶりでした。建築との関わりが25年を超える自称建築マニア笑には、そうそう感動もしなくなるのですが、思わず「すげー…」と声が漏れました。

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展示スペースは地下にも埋まっているのですが、この白い55コのボックスはアラブの市街地メディナをイメージしているようです。確かに迷路感があり全体像が掴みにくく、とても大きく感じてしまうのはそのせいかもしれません。

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ただこのような造形に富んだ建築に対する誤解を解きたいと思うのですが、こんな空間すごいだろう!とか、かっこいいだろ!とかそういう点だけで評価しないで欲しいと切に思います。もちろんこの美術館の形や空間はこの上なく面白いのですが上の写真を見ながら想像してもらいたいのですが…皮膚をジリジリと焼く刺すようなアブダビの日差しが降り注ぐなかを大樹の木漏れ日を浴びながらベンチに腰掛け海からの涼しい海風を感じながら、くつろぐことができる…この体験がこの美術館のもっとも美しい点だと思います。

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実際に日中は…特に14時から夕方にかけては暑すぎてクラクラするほど、いや少し命の危険を感じるほどの強烈な環境の中では室内でエアコンは必須です。因みにこの時間は人は外部を出歩きません。その上で外部で活動できることは感動するほどの体験だと個人的には感じてしまいました。

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それと特別展示だと思うのですが、日本展みたいなものをやっていて興味深かったです。襖絵を写真のように展示していました。実際は襖ではなかったと思うのですが、外国の方には襖の枠が額縁のように見えていることが客観的に知ることが出来た感じがしました。

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あと個人的に面白かったのが、写真のゴミ箱です。日本では本当にゴミ箱が街から消えてしまって、なんだか笑ちょっと新鮮でした。しっかりと美術館に合したデザインがされていることに感心しながら、分別回収は世界的な流れなことも知れました。

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展示品には昔の日本地図や世界地図の日本の形など面白いものが沢山あって紹介したいところですが、キリがないのでこの辺んで終わりにしたいと思います。ということで、最後の写真はエントランスとは反対側の対岸からの全景です。

う〜ん、やはり…バスクリン…笑。

 

スペイン・ビルバオグッゲンハイム美術館のことも書いています。少し長いブログですが、お時間あるときに読んで頂けましたら!上のリンクから訪問できます。

お題「わたしの癒やし」