山と都会と時々、建築

山と都会と時々、建築

登山で自然の雄大さを感じ…都会で人間の営みを建築から見る…そんなブログです

スペイン・ビルバオ02

スペイン・ビルバオ01の旅行記の続きとなります。

読んでない方は下記のリンクよりどうぞ!

yiablog.hatenablog.com

今回もとても長いブログとなりました…お時間がある時に…

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まずはビルバオについて少し書きたいと思います。スペインの人口が約4600万人程度で日本の4割ぐらいです。ビルバオという都市は、スペインでは10番目に人口が多い都市で約35万人程度です。日本の県庁所在地と比較するとちょうど奈良市ぐらいの規模の都市となります。私の育った松山市が50万人ぐらいなので比較的小さなというと少し語弊がありますが、とても可愛らしい街だとイメージして頂けると思います。しかし今から見に行く美術館によって「創造都市プロジェクトが世界でもっとも成功した都市」として国内外問わず沢山の観光客が訪れています。

そのため国際色豊かな観光客が沢山訪れています。当日は朝早く到着したのですが地方空港ながら、すでにたくさんの旅行者で溢れていました。空港からの交通手段ですが市内までは基本的にはバスがオススメだと思います。もちろんタクシーもあるのですが、片道3ユーロなのでとてもお得です。とりあえず到着口から出て一番右側にチケット売り場があるのでそこに向かいましょう。バスにはルートライン番号が振られているので上の写真の「(A)3247」と書かれたバスに乗れば大丈夫です。当日も写真のように沢山の人がバスを待っているのですが日本のように一列には並んでないのでなんとな〜く紛れ込んで待機中です。

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これが購入したバスチケットの写真です。たぶんスペイン語なのでしょうが、まったく読めないのでこのチケットの使い方が当日は分からなくて、あたふたとして運転手に軽く怒られることがないように(笑)一応載せておきます。チケットの上の方に「LINEA A3247」と書いているのが読み取れると思います。この番号と同じバスに乗ればいいのでスムーズにバスの発見までは行えたのですが、チケットの下部に印刷されているバーコードをバスの真ん中の乗り口にある手すりに備え付けられた、よく分かんない読み取り機にかざしてピッと鳴らすなんて気が付く筈もなく…という感じにはくれぐれもならないようにご忠告です。

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バスは15分おきに出ており空港から市内までは20分ぐらいで着きます。降りる駅は4箇所あるのですが一番最初の「Alameda recalde 14」というバス停が目的の美術館に近いのでそこで降りて下さい。上の写真の赤い架構が目印になる橋で左側の波打つシルバーの物体が美術館です。写っていませんがトンネルを潜って写真の奥から橋を渡ってこちらに向かってきて少し過ぎたところがバス停になります。なぜか美術館の前では降ろしてくれません。しかしこの街に入ってくるアプローチは、なかなか高揚感を上げる演出で思わず「素晴らしいなぁ!」と声が出ました。(夜に東京着いた時に赤く光る東京タワーを見た感動といいますか?ん〜、わかりにくい例えで申し訳ないです。)

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なのでバス停から少し戻る感じになるんですけど、上の写真の横断歩道を渡って左側に行くと美術館の入り口に到着します。が、私は右に向かいます。建築を見学させていただく時は可能な限り外部構成や環境を知りたいですし外観をまず拝見したいので、今回ももれなく一周してきます。それなりに大きな美術館なので1時間は周っていた気がします。

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横断歩道を渡り右手に行くとすぐ橋の入り口に入ることになります。この橋は「サルベ橋」と呼ばれているようです。てっきり美術館が建造された時に一緒に作られたのかと思っていたのですが、建設は1972年と結構古い橋でした。正式名も「スペイン皇太子橋」とのことでスペイン初の吊り橋らしいです。ただこの赤色のゲートは美術館の開館10周年としてフランスの芸術家ダニエル・ビュラン氏によって追加されたようで空港から街に入るゲートとしても、このアグレッシブな美術館との関係も面白いと思います。この写真では分かりませんが、後で出てくる写真には赤いゲートの小口の部分にストライプ柄を使っていてダニエル・ビュラン氏らしさが垣間みれます。

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建築の感想の前に…ね!ちょっと青空が見えてきてますのね!晴れ男なので(笑)

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さておき、美術館の形がかなり分かりやすい写真が撮れているのではないかと思います。建築の写真を撮る時は構成などはあまり考えず内も外も出来る限り写るように(後で気になったところを確認するため)超広角レンズを使うので結果的にダイナミックな写真になってますが、この建築に関しては写真のままを現実でも感じることができると思います。

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あと美術館とこのサベル橋との組み合わせが観光客の方々にも評判が良いようですが、建築をやってる私にはこの建築をこの角度!このアングル!この距離!という感じに通常では考えられない視点で全体像を見渡せる環境が面白いと思いました。ワクワクが止まりません。まるで大きな模型を見ているような視点です。建築家はこの視点を意識せずには設計できない筈なので必然的に写真が増えてしまいます。 

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写真の位置から橋の下に移動できるEVを使用できます。昔は有料だったらしいのですが今は無料で使用することができます。年間20万人の歩行者が使用しているらしいです。下の写真は橋から降りた美術館の対岸の川沿いの歩道に出てきます。下から見ると結構な高さがあります。左のオレンジ色のような柱がEVシャフトでそれを回るように外階段も設置されています。階段で降りることもできるので、私は階段を使いました。

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上の写真は先ほどのサルベ橋の柱脚になるのですが、かなり大きな絵が描かれていたので思わず撮ってしまいました。左下に通行人とその横には大きなワンボックスの車があると思うのですが、かなり大きな絵だとわかると思います。

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先ほどの絵からは川沿いに歩道が設けられているので5分ほど歩いて行くと上の写真のように美術館を正面から見渡せる場所に着きます。ネルビオン川と呼ばれるとても水量の多い川ですが、かなりゆっくりと流れる川でこの日は風もなかったので水面に美術館の全景が反射してとても美しい外観を見ることができました。ここまで造形的な建築物を目にする機会はなかなか無いと思います。ミニマルな建築が世界的にも主流な中でここまでやり切ってもらえると心惹かれます。こちらの対岸から見える波打つ外観はチタン合金の薄い板を貼り合わせてあり、チタンの独特な鈍い輝きが受け取るイメージを少し柔らかく優しくしているように感じます。

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そのまま通り過ぎるとまた少し変わった橋が架かっています。この橋もなかなか構造的にドキドキさせられる要素が沢山詰まっています。先程の橋とは違い、まるでCGです。紛れもなく実在しています。いい感じで曇っているので、ずっと見ているとますます現実感が消えていく…そんな感じです。

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上の写真は渡りきったところの下部から撮った写真です。この橋に関しては全く情報がなかったので日本に帰ってから調べたのですが…情報が少ない橋でした。詳しい方、情報ください!名前はなんとか見つけたのですが「ペドロ・アルぺ歩道橋」と呼ばれています。ビルバオ生まれのイエスズ会の司祭の名前から名付けられたようです。なんとも言えない形なんですが、ちょっと昆虫ぽいというか面白い形です。インスタ映えするような橋ではないのかもしれませんが、ステンレス による素材感がシンプルな形をより引き立てているように感じます。

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そしてこの橋は上の写真のように歩道橋部分が打って変わって全て木(ウリン?)で覆われていて印象がかなり大きく変わります。人のための歩道橋なので素材の選択肢が増える中で、人が接する部分は工業製品でない自然物である木で作られている感じは視覚的な効果も実際に足から伝わる印象も柔らかく感じられました。大学と図書館が両岸にあるのでそれを結ぶために作られた橋のため、沢山の老若男女が行き来して爽やかに賑やかで、この橋から見える景観も抜群に良いので個人的には曇っていても、とても印象の良い橋でした。散歩がてらにおすすめです。

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 この橋を渡ると美術館に面する少し広い公園に着きます。これで美術館を一周した感じになります。当日は曇っていましたが、たくさんの人がいました。写真のように子供達も遠足なのか?大道芸人のパフォーマンスを声を上げながら楽しんでいました。その様な環境の中、外観はとても奇抜な美術館ですが不思議と馴染んでいる感じが心地よく感じます。地元の年配者もウォーキングをしながら横切っていて、日常の延長にある意外とほのぼのとした空間でした。

と言うわけで、今回はここまでとします。いよいよ次回は美術館の内部を書いていきたいと思います。本当は美術館の外観まで書こうと思っていたのですが、結構長いブログになったもので、申し訳ございません。デワデワ。次回もお楽しみに!

 

 

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